辺境カフェ café frontière

辺境を愛する旅人の書

スワンのはなし

 

クルド人同僚とのランチの場でのおしゃべり。

 

(「あ」がわたしで、「ふ」がクルド人同僚。ちなみに彼はイギリス在住歴が長く、英語も上手です) 

 

ふ (メニュー見て、チキンの料理注文しながら)「ここのは、チキンだけれど、別のとりの方がおいしいね。ええと、英語でなんだっけ、たしか、、そう、スワン。日本でも食べる?」

 

あ「え?!スワン?!スワンって白鳥よね?スワンを食べる?!いやいやいやいや、それ、ダメでしょ!信じられない!スワンって白くて、大きくて、首が長くて、きれいな鳥のことだけど?」

 

ふ「そうそう。よくこのあたりにもいるでしょう」

 

あ「えー、ここでは見たことないけど。。。日本のウチの実家の近くには、冬になると来るよ。うちのお母さんがえさあげてる。渡り鳥でシベリアから来るのよ。ここのはどこから来るの?」

 

ふ「シベリアから来る?それじゃ、違う種類かな。ここのは、いつもいるよ?」

 

あ「え、本当にスワン?首が長くて白くてとてもきれいなの?」

 

ふ(スマホで画像を探して)「あった、これ」

 

あ「なーんだ、これ?あひるじゃん!これは、ダックね。ああ、これすごい美味しいよね!日本料理では使わないけど、中華料理には北京ダックっていう美味しい料理があってね、わたしも、すごい好きよ。」

 

スワンを食べると聞いた時の憤慨ぶりから、一変して、アヒルだとわかった時の、よだれが出そうになった、自分の態度の豹変に笑いました。

 

白鳥と、あひるで、ひどい差別だなーって。

 

でも、ひどい差別だって気づいたところで、やっぱり、白鳥は食べたくないし、白鳥は美しいと思うし、あひるは食べたい。

 

かんがえてみたら、「みにくいあひるの子」っていう話だって、教訓ぽい話に仕立てられてはいるかと思いきや、「子どもの時にいじめられたが、大きくなったら、美しくなって、上流階級の種であることが証明され、いじめた相手を見返してやった。白鳥様には、もともと生まれが下賤であるあひるは、どう逆立ちしてみてもかなわないだろう。」という話しですよね。いいのかしら。こういう話を子どもに読み聞かせたりして。

 

動物の種間差別だからまだしも、人間の人種とか出身国の違いでも、これぐらいの偏見や差別待遇は、実際には当たり前のように存在しているよなあ、と思うのでした。自分の中の先入観や偏見も含めて。